6月6日(火)早朝、観光とサッカー日本チームの応援のため関西空港を出発した。
盆と正月以外長い休みが取れない仕事にもかかわらず、今回家業をストップすることもなく旅行をエンジョイできる幸せをかみしめながらドイツへ向かった。
フランクフルトに到着したのは12時間程、ワールドカップの7日前だったため町も平静であったが、2日前になると賑やかな中南米の応援団やイギリスのフーリガンの連中が夜通し騒ぎまくり、ようやくワールドカップらしきムードを見せ始めた。日本チームの最初の対戦相手はオーストラリアで旅行の最終日に合わせるため、それまでは観光と決め、フランクフルトとハイデルベルグを中心にじっくり見物することにした。団体ツアーに参加すると気は楽だが、どうしても朝から晩までスケジュールに追い回されるのがつらく、少し不安もあった。が、多くのドイツ人は英語が通じると聞いていたので、久々に女房とのノンビリ2人旅となった。
最初に気付いたことは、ドイツはアメリカと同じく多民族国家ということだ。アフリカ系黒人はアメリカと比べると少ないが、アラブ系、ラテン系の人々、インドやアジア系の人々も、観光客を除き、町では多く見かけることができる。
宗教的にはキリスト教が中心だが、イスラムを信じる人々も多く、移民としてドイツ社会に定住している状況が町を歩き回るとよく分かる。
ライン川やネッカー川の川下りは圧巻で、点在する城壁や教会、町並を見ているとヨーロッパの中世に逆戻りするような錯覚に陥る。基本的にドイツ人は変化を好まない保守的な国民で、日本のようにダイナミックな変化には、ついて行けない国民性のような気がする。数多くあるドイツの自国の歴史と伝統を守り抜く姿勢の強さを肌で感じることができ、同じ多民族国家にもかかわらず腕っぷしだけのアメリカとは色々な面で一線を画しているのは当然と言える。
もうひとつ感心したのは町中のゴミの少なさである。公共の場所、人々の集まる広場や公園にあるゴミ入れには人出の多い週末にもかかわらず、ゴミがほとんど見当たらない。
日本ならゴミが溢れ出ている所だが、50年位前から国がゴミ問題に取組み、教育をはじめ行政がきっちり対応してきた成果が現れ、ゴミ問題は解決済みとは羨ましい限りである。日本に来る外国人は、日本は非常に清潔な国との評価をするが、私は日本人もドイツ人に負けない位きれい好きの国民だと思う。
真剣に取組めばドイツ人より早くゴミ問題を解決出来ると思うが、嬉しい点は日本人の文化のひとつとして、丁寧で色美しい包装習慣を切り捨てるのは簡単にいきそうにないからである。
ドイツの交通機関を利用する際、特に列車に乗る際は要注意。どの駅にも改札はないし、案内も少ないので日本人なら怒り出す人がいるかも知れない。フランクフルトからハイデルベルグに向かう急行列車に乗ったまではOK。ところが停車駅のハイデルベルグに着いたのにドアが閉じたままである。発車寸前、ドイツ人が横のボタンを押してと大声で指示してくれたお陰でドアの脇に付いているボタンを押してドアは開き、間一髪下車でき、ほっと一安心!
ドイツ人特有の合理主義というか、何事もすべて自己責任で行うやり方は絶えず精神的な緊張が伴う。日本のサービスは過剰と言われるが、旅行気分の日本人には日本式の充実したサービスの方がリラックスでき格段に楽しい。
丸一週間、肉、ハム、ソーセージ、チーズ、じゃがいも、パンで過ごしたのは生まれて初めてである。ドイツに行かれた方は、ご存じと思うがドイツ人の食べる量は半端じゃない。フランクフルトのレストランでの食事の量の多さに驚かされて以来、メイン料理は一人前、その他サラダなどの軽い物を1人前取って半分ずつ2人で食べるようにする作戦に変更した。
ドイツ人の体型を見ると、特に女性は肉の塊のような人が目に付く。若い女性でもスリムな人は少なく、日本人女性で自分はかなり太目と思っていても。ドイツ人と比べると可愛いもの。うちの女房も大分自信をつけたようである。
近年ドイツもアメリカと同じく健康志向で日本食も認知され、すしは大体大きな店では売られているし、昨年あたりから回転ずしが人気のようである。
一週間ドイツ食を続けると消化器の底に油が貯まっている感じでおなかがすっきりしない。ともあれ毎日こんなシンプルな食生活を続けられるドイツ人には、敬服するばかりである。食材の豊富さ、料理の奥深さ、美しさ、バラエティーの多さ等、フランス料理と同じく日本は世界屈指の料理大国だと実感すると共に、日本食のすばらしさを改めて感じる次第である。
帰国の日は意気消沈の日本チーム応援団と遭遇。内心、対オーストラリア戦に勝利し、日本チームがいかに戦い、いかに勝利したか一部始終をかくつもりが、惨敗という結果で行を進める意欲が涌いて来ない。あえて今の気持ちを表現するなら、熱狂的な阪神ファンがシリーズ優勝決定戦の試合で、いいところなくボロボロに敗れた時の気分と言う表現が近い。試合はやってみないと分からないというが、ここ3年経験したことのないような負け様で、監督も選手も相当ショックを受けているに違いない。これで決勝トーナメント進出は難しくなったが、残り2試合対クロアチア、ブラジルに戦に気持ちを切り替え、全力を出して日本チームの良さと底力を世界にアピールするよう健闘を祈るばかりである。
 
2006年6月13日
ハイデルベルグにて
小野 勝

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