拙者は、我が主人が愛用する“入れ歯”と云う名前のついた代物である。人工的に造られた人間の歯の代用品とも云えよう。拙者を産み出してくれたのは、我が主人がかかりつけの歯科医院であるが、作成した側からすれば、人間の身体の一部分として、医学的にもその役割や機能を果たしてもらえる様に、丹精込めて夫々の手順を経て、拙者の誕生と相成った次第である。しかし、そもそも拙者の登場は、我が主人が自分の親から授かった生来の自分の歯に対する“大切さ”を軽んじて、歯に備わった種々の機能はおろか、歯そのものに支障を招いた事に他ならない。その結果拙者の登場と相成った次第である。
 
当初、我が主人は入れ歯をはめると云う初体験からか、いろいろの紆余曲折を経て、自分の脳幹をも揺るがす程の異常感を味わう事になったが、徐々に鍛えられ、今では離す事の出来ない不可欠の間柄となり、拙者に頼り切っている程である。
 
いざ、現実を想う時、我が主人がもっと早くから、口腔衛生面に深い理解を示し、高い関心を寄せていたならば、拙者の出番は無かったかも知れないし、今、問われている8020運動の枠の中で自分の人生を果たしていく事が可能であったかも知れない。
 
しかし、現在拙者と我が主人とは親密な関係にあり、食生活や生活機能、或いは顔などとの審美的な作用にまで充分にその役割を果たし、我が主人が現代の高齢化社会の一員として、その一翼を担おうと努力をしている姿を目の当たりにする時、拙者も又、少し大袈裟かも知れないが“大きな貢献をしているのかな”と自負している次第である。
 
しかし逆に世間一般に広く目を転ずれば、全てが我が主人と拙者との関係であるとは限らない。その逆も又、真なりである。
 
世間の我が同輩“入れ歯”達よ
“頑張れ!!そして自分の主人と上手く付き合え!! もっとなじみになってやれ!! いざ!!”
 
(2004年8月)

お問合せ・ご相談はこちら

ご不明点などございましたら、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

080-9475-8727

大正区口腔ケアステーション

大阪湾に面する渡し舟の町、大正区歯科医師会のホームページです。
歯・口腔に関する情報や、区内の歯科医院案内をお届けします。皆様からのご意見・ご要望もお待ちしております。