鳥羽慶三
過去はしだいに先端が細まっていく道ではなく、狭いビンの首を通りぬけた奥、広々とした草地である。(フォークナー「エミリーにバラを」より)
 
学生時代に読んだ短編集の1フレーズ。何気なく読み過ごしていた。しかし60も半ばに差し掛かった今、実感と成り当時が広がり始める。
あの時は寒い師走だった様に思う。小倉(現北九州市)の魚町、友人と電車を待っていると、そこに赤信号で一台のタクシーが停車、無意識に中を見ると客もニコニコ笑いながらこちらを・・・・・。暫くするとウインドウが開きかかる。とその時信号が変わり車は走り去った。彼の顔を何処かで見た気がする。でも思い出せない。
ところが帰り道、電柱の破れかけたポスターにその顔が・・・・・。
 
「白木秀夫」(ジャズドラマー)来演。小倉市民会館。(労音)
“ロウオン”この言葉に響きに懐かしさを覚えるのは団塊の世代まで?
数年後この会館で、“ルイ・アームストロング”を観る。
トランペッターで歌手でもあるサッチモを聴くとは言わず、敢えて観たと表現するのは、黒いタキシードで片手にトランペットもう一方には深紅のハンカチ、歌い、吹き、語るその合間に再々、深紅のハンカチで、あの口を拭う。そのたびにあの口から“白い歯”が・・・・・。美しい。この姿が脳裏に焼き付いているからです。
 
「よーく考えよー “白い歯”は大事だよー ウーウ、ウーウ、ウウウウ・・・・・」
気になったら近くの歯科に相談に行こう。リズミカルなCMも頭に残る。
 
先日偉大なドラマー、ジョージ川口氏が急死の記事、ここから広がった過去の記憶でした。
因みに白木氏も十数年前に黄泉の国へ。妻は水谷良江(元ジャズシンガー)だった。(現水谷八重子)
私は火・木・土診療を休み息子にまかせてもっぱらスローライフを心掛けている昨今です。
 
2003年 暖かい晩秋 鳥羽慶三
 
(2003年12月掲載)

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