我家の愛犬ロン(ミニチュアダックスフンド)を見ていると実におもしろい。大好物の食べ物をごほうびでもらうとなると、普段のドッグフードでは気のないお手やおかわりなのに、体は躍動し高速のお回り、お手、おかわり、ふせ、と知っている芸は全て披露してくれるし、人間の言葉に確実に反応してかしこいところを見せくれる。ところが、粗相をしてしかられると気の毒な程意気消沈して体はコチコチに固まってしまう。
動物の脳には、「報酬系」と「罰系」の神経領域があり、達成感など気持ちが良いという感覚は「報酬系」をバンバン刺激して、体はリラックスし免疫力も高まる。ところが、失敗したり意味もなく怒られたりすると「罰系」をチクチク刺激して体は緊張し免疫力は低下する。
人間の脳は特別で、知性と理性を司る大脳が発達しているので、この「罰系」刺激を「報酬系」刺激に変える事もできるそうだ。怒られても、これは自分を伸ばすチャンスなのだと前向きに受け止める意志の力が知らず知らず「報酬系」刺激に変えていくのだ。
近鉄の梨田監督は、選手時代は西本監督によく怒られていたそうだが、自分が監督になって選手には怒らないという。子供の頃はやく父が亡くなった後、家計を助けるため新聞配達していたのだが、遅れたり雨で新聞がぬれると怒られるし大変だった時、ある奥さんに「あんた小ちゃいのに偉いわね。頑張って」と言われた事がうれしくて、大きくなってもそういう優しい気持ちを持ち続けたいと思ったそうだ。自分の経験から選手の自主性に任せて、打たれても打ち返す豪快な野球で二年連続最下位の近鉄を昨年リーグ優勝に導いたのは、選手をほめてその気にさせた結果ではないだろうか。
「罰系」刺激が来たら、何事も自分の都合の良いように考えるのも一つの良い方法かも知れない。ゴルフは下手だが、上達する楽しみがあるとか。何でもプラス思考に変えてしまって罰系人間を卒業したいものである。
日本経済もダメダメというばかりでなく、バブルの時が異常で、今は正常に戻ったと思えば気が楽だし、新聞報道でも燃料電池、人間型ロボット、ナノテクノロジー、再生医療等21世紀の夢の話が現実のものになりつつある。きっと近い将来日本経済も躍進するものと期待している。
そういえば、2002年元旦は、カウントダウンで明けたと同時にユニバーサルスタジオから花火が打ちあげられ、家の窓からもきれいに見えて、期せずして景気良く新年を迎えることができたのだった。今年は何か良い年になりそうなそんな予感がしてきた。
(2002年2月)